2017-10

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星・正稔記者会見

星雅彦と上原正稔が9日に沖縄県庁で記者会見を行い、慶良間の「集団自決」における梅澤・赤松両隊長の「自決命令」はなかったことを強調し、濡れ衣を着せられている元隊長に謝罪すべきだと訴えた、そうである。

5月11日に刊行された「うらそえ文藝」14号が沖縄のマスコミから黙殺されたので、この記者会見を行ったと思われる。当然、この会見にもタイムス・新報の沖縄2紙の記者は姿を見せず、引き続き無視されたようである。
だが、今日(11日)の産経新聞と世界日報にはその報道がされている。世界日報は両氏のツーショットカラー写真まで載せている。おそらく地元マスコミは来ないと予想しただろうから、星と正稔は産経新聞・世界日報という右派系本土2紙の為に、記者会見を持ったものと思われる。

これは、両氏にとって「転落」と烙印を押される行為でしかないだろう。私は、星・上原正稔両氏とも沖縄の2新聞社への個人的鬱憤をブチまける意味で、今回の「うらそえ文藝」での「集団自決」特集を組んだのだと見ていたのだが、どうやらこれは好意的な見方だったようだ。結局、両氏は権力へ摺り寄る姿勢を見せているのではないか。
地元2氏は沖縄戦に関しては、国家へ強い対立の姿勢を取るとは言え、沖縄社会も日本の国家権力の支配する場所に過ぎず、タイムスと新報の2新聞が沖縄を支配している訳ではない。2紙は最後の砦として、国家から沖縄への抑圧・統制に対し、報道・言論でもって精一杯の抵抗を続けているだけである。

星は、あの教科書書き換えへのキャンペーンは政治的イデオロギー論争の具だとして、「県民総決起大集会とマスコミの力で裁判も国も動かしたわけね」と、正稔との対談で言っているが、大江・岩波裁判を原告隊長側の負けと裁判官が判定したのは、原告側の動機にいかがわしいもの読み取ったからである。形式どおりの法律適用を行って原告の勝訴にしてしまうと、低級な日本右翼がノーベル賞作家・大江健三郎を陥れる意図の謀略裁判において、愚かな判決を下した裁判官という有難くない意味で歴史に名を残しかねないからである。県民大会やキャンペーンが無くとも裁判官は、大江・岩波を敗訴にする訳には行かなかっただろう。(ただし、国家が司法に介入し「国策」裁判が行われたら別だが、それはないだろう。)

星と正稔の言うとおり、隊長の自決命令は無かっただろう。
彼らが言うとおり、「鉄の暴風」の記述は雑駁であり、検証を怠っている.
しかし、その事は、タイムスも新報も、沖縄の研究者の誰でも分かっていることであると、私は思う。通常の判断力を持った人物なら皆そう思うだろう。
だがもう、はるか40年前に赤松が「週刊新潮」で責任否定の弁明を開始した時から、また、曽野綾子が「ある神話の背景」を発表して、日本軍の戦争責任を無化しようと乗り出した時から、沖縄タイムスは「鉄の暴風」を訂正出来なくなってしまった。沖縄戦研究家も隊長命令に関して本音を言う時期を失したのだ。もし、タイムスが誤りを認めて記述を訂正すれば、赤松本人、曽野綾子ら権力の擁護者たちの、さらなる沖縄攻撃が勢いを増す事は目に見えている。タイムスの公器としての信用は地に落とされる。もう、沖縄は本音を吐いて「隊長命令」の不存在を認めることは不可能になっている。

だが、私は何度も言うように、隊長命令が無かったからといって、指揮官として現地住民を死に追いやった責任から両隊長は免れ得ないと思っている。特に、罪の無い十数人の民を処刑した赤松嘉次の責任は免れない。
今、隊長命令は無かったとタイムス・新報および研究者が認めてしまうと、両隊長の責任のみならず沖縄戦への日本軍の責任を無化するか大幅に減じてしまう。これでは沖縄戦の犠牲者は浮かばれないというものである。だから、今となっては、沖縄は赤松・梅澤の命令無きことを、公式に認めなくてもよいと思っている。彼らは更なる罪を作り続けているのだから。

星雅彦と上原正稔は、その意味で郷里を裏切り大和権力に売る行為をしたといえるのではないか。
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コメント

キー坊さん
>7.2に那覇で星・上原に会ったらしいですが、別段、「うらそえ文藝」に両者が書いてあるもの以上の事は聞き出していません。

会ったということだけで新しいことは聞き出さず、既存の文章をもらう。そのほうが辻褄を合わせたモノは書きやすいですからね、(時間をかけずに。

>また、上原の言う事を引いて、「赤松氏は、全ての不条理に関して一言の弁明もせずに亡くなった・・・」と

産経が報じた「照屋昇雄証言」ですね。櫻井よしこ氏は『機関紙?』を忠実にフォローするようです。

週刊新潮の記事

櫻井よし子の記事を読みました。7.2に那覇で星・上原に会ったらしいですが、別段、「うらそえ文藝」に両者が書いてあるもの以上の事は聞き出していません。

上原は07.6月に新報への連載「パンドラの箱・・・」を中断させられたそうですが、星もちょうど同じ時期、「集団自決」軍命説を否定する論考掲載を断られたそうです。
ということは、星は34年ぶりに「集団自決」に関する考えを、新聞に発表するつもりだったわけです。かなり久しぶりに書いた事になりますが、時は「教科書書き換え」への抗議キャンペーンを行っている真っ最中であり、掲載を断られるのは当然です。

今回の記事を書いた櫻井よし子の程度も分ります。この二人が特に注目すべき内容の発言をしているのでもないのに、この二人の発言を封殺する沖縄言論社会の異常さを告発するような締め括り方です。

また、上原の言う事を引いて、「赤松氏は、全ての不条理に関して一言の弁明もせずに亡くなった・・・」と書いてますが、1968の「週刊新潮」デビュー以来、命令否定の連続であった事を、櫻井よし子は知らないんでしょうね。

蝋間人情報によると、櫻井よしこが星、上原両氏にインタビューして週刊新潮に何か書いたようです。櫻井よしこといえば週刊新潮の同じ欄に、梅澤裕の「村首脳との会見談」を誇張して書いた為に、梅澤の信用性を低下させた張本人であったことを思いだします。
http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/730.html
なお櫻井さん、週刊新潮の「発売日」に自分のブログに発表する習慣のようです。これは「7月16日号」です。

水島総によると

星、上原両氏の行動を、チャンネル桜社長である水島総がどう表現しているか、ご参考までにご報告します。

from「正論」2009/8映画「南京の真実」製作日誌23より
(引用開始)
最近、沖縄で集団自決に軍命令はなかったとして、左翼側から自已批判と「鉄の暴風雨」の虚偽に対する告発、沖縄タイムスや琉球新報に対する告発が提起された。祖国日本の危機にあって、英霊や先祖たちが私たちの命を通して、真実を顕現させている、そんな気がする。
(引用終了)

resありがとうございます。稲嶺氏の回顧録とは、琉球新報連載企画で、まだ完結していません。また、新報サイト上への掲載は無かったと思います。
私が触れた回は5月27日付掲載分でありまして、稲嶺氏視点での改竄問題という内容です。

曰く、当時の県知事の大田氏と共に訪韓した際見学した戦争記念館にて、残酷な展示はカバーで隠されていた由、新資料館でも反日的なものは避け、「子どもに見える範囲は、あまり刺激的にすべきではないという趣旨」、それがバレて、「資料が業者を通してある監修委員に渡り、それがマスコミに渡った」、その後、「展示方法は・・・われわれが決めることではない。・・・この問題は・・・何となく立ち消えになり、自然に収まっていった。」

改竄を自ら指示しておいて「われわれが決めることではない」という無責任さ。当時、監修委員の任期や開館時期、県執行部の秘密主義などなどで、県側の既成事実が積み上げられ、監修委員側は動くに動けないという事態だったことぐらい、各種報道で散々明らかになっていたはず。星氏は、そういう稲嶺氏と対峙していた当事者だった。

全文は紙面をご覧いただくとして、あれから10年経った今でもここまでバカにされている星氏に研究者としての矜持のありやなしやと疑問に思うものです。そこへきて、この対談記事・・・私は最初、同姓同名の別人かと思いましたよ。

つうこうにん さん。コメント有難うございます。

稲嶺知事・県平和祈念資料館展示改変と、星氏との絡みの件は知りませんでした。星氏は長年「県史」編纂作業に携わっていたので、一般論的に日本軍を告発する考え方は有ったと思います。それは今も変わってないようです。しかし今回、肝心の「集団自決」については、軍を免責する論考を発表してしまいました。私も理解できませんね。「転落」したと考える他ありません。

>稲嶺氏回顧録
まだ読んでませんが、彼は沖縄財界・資本家の代表です。国家権力に逆らう考え方はできない立場です。今の仲井真知事も同様だと思います。国家による沖縄への引き締め・抑圧は徐々に徐々に強まっており、星氏らは情況に流されたのでしょうか。

「断層」

ni0615 さん。コメントをどうも。

>週刊新潮などの赤松嘉次のマスコミデビューが、あれほど挑戦的挑発的でなければ、…

これは1968年4月ですね。前年の67年に石田郁夫は沖縄を訪ね、慶良間にも行って後、「展望」11月号に「沖縄の断層」をルポしています。
http://keybow49okinawan.web.fc2.com/siryou.html

これを赤松は読んだと、72年に石田に言っています。星雅彦も読んだに違いありません。
石田は渡嘉敷で、赤松名将説を唱える生き残り(金城武徳と思われる)に逢ったりして、実情は巷間言われてることと違うと感じ、沖縄の言論界に警鐘を鳴らしてました。当時、星は石田のこのルポに触発されたと思います。36年ぶり「うらそえ文藝」に書いた論考は「集団自決の断層」ですから。

星がこんな退落した結論を出すとは思いませんでしたね。石田も草葉の陰で落胆してるでしょう。

星雅彦氏は、県平和祈念資料館の監修委員として、県政交代の際、稲嶺氏に煮え湯を飲まされた方じゃなかったんでしょうか?そんな方が、どうしてこんな発言をするようになったんでしょう。
しかも稲嶺氏は、自身の回顧録にて、資料館の展示改竄を何ら反省していないことをあからさまにしている。それとほぼ時を同じくしてのこの記者会見・・・到底理解不能なことであります。

星雅彦さんは、「沖縄県史」のための体験聞き取りを膨大に行った人です。その経過から、「鉄の暴風」は改訂をしたほうがいいよ、という声が彼と周囲から起こったのですね。

しかし殆ど改訂はされず今日に至りました。右翼からの訴訟は、「鉄の暴風」を参考にした「沖縄ノート」を対象にしたわけですが、原告弁護団は、民事裁判であるにも拘わらず、間接的にも「鉄の暴風」が否定できると、支援者に錯覚を与えたわけです。

星雅彦さんが今回の対談のなかで、「なんで『鉄の暴風』を訴えなかったの?」といったのは、そういう事情を言ってるのでしょうね。

裁判2審までの結果は、世間的に「沖縄ノート」が容認されたことによって、「鉄の暴風」も容認されてしまった。そうした、裁判のありかたを、星さんはボヤいているのでしょうね。

しかし私達から見れば、「鉄の暴風」は1950年に記された戦史であり、星雅彦さんが携わった「沖縄県史第10巻」は、1970頃編纂された戦史なのです。その間に記述が訂正されています。そして、「沖縄ノート」と「ある神話の背景」は、1970頃の論評なのです。

そうした戦史や論評自体が、私達にとっては歴史そのものと言え、どれも欠かせない比較検討資料なのです。

私自身が星さんに是非聞きたいことは、
1.島民達は、予想された敵襲に対して、事前にどのような指示を受け、どのような手筈だったのか?
2、敵襲が予想されていなかったとは考えられません。なぜなら、海上挺進隊がめでたくも出陣できたあとはどうするのか、そのプランがなかったとは考えられません。

ということです。

星雅彦さんが、「当日の隊長命令」という狭いポイントにこだわるとは、その近視眼には少々がっかりしました。

赤松嘉次という人物の人柄はともかくとして、集団自決という大惨事と、スパイ容疑での住民処刑という惨劇については、現地総司令官としての責任を負ってるわけです。「当日の命令」がなかったとしても、隊長としての責任は逃れられません。

週刊新潮などの赤松嘉次のマスコミデビューが、あれほど挑戦的挑発的でなければ、事態はもっと違う方向に進んでいたかもしれませんね。

昭和20年には、赤松大尉は弱冠25歳に過ぎなかったのです。昭和35年を過ぎて、防衛研究所戦史叢書編纂室などから煽てられて、沖縄第32軍名誉回復のヒーロー気分で登場したりしなかったら、彼はかえって世間の同情を集めたかもしれません。

(1970年の慰霊祭騒動の反動として、世間の同情を集める書、曽野綾子「ある神話の背景」が登場した。)


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キー坊@ウチナー

Author:キー坊@ウチナー
沖縄本島中部、巨大な米軍基地を抱える町の生まれ。
齢を重ねるごとに、沖縄戦へのこだわりが強くなります。
曽野綾子・『ある神話の背景』は沖縄を究極的な軍事基地にする目的を持っています。「集団自決」は沖縄戦の集約された出来事だと思います。『ある神話の背景』は沖縄への抑圧・差別の集約文書です。

HP・「その『神話』の背景」(文献・資料集)
http://keybow.co

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