2017-10

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山崎・佐高氏の本

 4月19日に刊行された『曽野綾子大批判』は、予想されたように、佐高信・山崎行太郎という左右の硬派言論人が、歯に衣着せぬ調子で、曽野綾子を斬って捨てている。曽野綾子だけでなく、近年急速に劣化しつつあるという言論界の現状を、左右問わずに批判している。
 大見出しや小見出しには、《下品な》言葉が並んでいる。
「保守論壇を劣化させた張本人」「甘やかされて育った言論人」「成功の理由は旦那にあり」「沖縄応援団の薄っぺらさ」「ミイラ化する姜尚中」「孫崎享の正体」…。
 全部に賛同するわけではないが、曽野綾子を主とした劣化言論人を両氏が遠慮会釈なく貶してくれているのは、小生にとっては一服の清涼剤のような感がある。

              『曽野綾子大批判』表紙

 10年ほど前までは、曽野の『ある神話の背景』に対して、右派の言論人はもちろん、沖縄の言論人を含めて左翼の言論人も誰一人、正面切って批判する者は居なかったように思う。その理由は、『鉄の暴風』で書かれた隊長の自決命令の存在が、『ある神話の背景』で不確かなものでしかなかった、と指摘された事にあると私は思う。『鉄の暴風』は明確に「隊長命令」があったと書いてしまっている。
 しかし私は、2007~08年頃山崎氏がブログやmixiで、遠慮会釈なく曽野綾子批判、『ある神話の背景』検証を展開してくれているのを見て、喝采を贈りたい気持ちになった。氏は今回の対談でも述べているのだが、「軍命令の証拠の有無は重要でない」と強調している。
 「熾烈な戦闘の中では証拠文書を残せる可能性は低いだろうし、日本軍は敗戦間際に重要書類を廃棄しているから、残っているほうがおかしい。軍命令よりも注目しなければならない事は、赤松隊が沖縄住民多数を処刑しているという残虐性である」と、「集団自決」の本質を突く指摘をしている。住民の「集団自決」における日本軍の「強制性」を言っている。

 この対談本は山崎氏が哲学に造詣が深いだけに、ジャーナリストの佐高氏相手に思想的に深みのある内容となっていると思う。佐高氏はジャーナリストであり、時局・政局を見渡しての人物批評をメディアに発表して、左翼言論人として売れっ子になっていた。前の記事でも書いたように、兼ねてから曽野綾子に対しても辛口の批評言説を呈していた。しかし、それは『ある神話の背景』に関するものでなく、体制御用作家の曽野綾子への批判文だった。

 年齢が近い両氏の対談本が、左派の佐高信氏の要望により、山崎行太郎氏の主発表メディアである『月刊日本』という右派言論雑誌の出版元から、刊行された事に注目をしたい。イデオロギーを問わずに、誰が本物か、誰が芯に、沖縄を含めた日本の行く末を慮っているかという事を、見なければならないという事を教えていると思える。
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コメント

太田良博氏

 伊藤さん、コメントを有難うございます。

85年(s60)の太田・曽野のタイムス紙上論争を忘れてました。でも、なぜ忘れていたかといえば、太田良博氏は『鉄の暴風』を記述した「当事者」であるから、反論するのは当たり前だという気持ちがあったからです。曽野の「伝聞証拠説」を明確に否定したあの論争は、内容的に太田氏に軍配が上がるものですが、遅きに失したという感じがします。

『ある神話の背景』発刊から12年もたっている時点で、ようやく、村長などの戦時体験者からの証言を元に書いたのだと、「伝聞説」を否定しています。だが、太田氏は発刊直後の73年に、新報で「渡嘉敷島の惨劇ははたして神話か」というまとまった反論を発表していますが、その中には、「伝聞説」を否定する記述はありません。
http://www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/?cmd=word&word=%E5%A4%AA%E7%94%B0%E8%89%AF%E5%8D%9A&type=normal&page=%E3%80%8C%E6%B8%A1%E5%98%89%E6%95%B7%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%83%A8%E5%8A%87%E3%81%AF%E6%9E%9C%E3%81%97%E3%81%A6%E7%A5%9E%E8%A9%B1%E3%81%8B%E3%80%8D
 だから、私は太田氏が曽野綾子に一太刀を浴びせたとは思いますが、完璧に論破したという感じはないですね。時期が遅すぎたという点で、曽野に「分裂症か」などという暴言を吐かせるスキを与えたのだと思います。

>曽野氏は論争に弱い人
今回の本を読んで、私もそんな人間なのだと気付きましたね。彼女の思想には芯がないから、太田氏への暴言、法廷で嘘証言をしたり、金城牧師への聖書無知呼ばわりというハッタリ言動をとるのでしょう。その半面、山崎氏や佐高氏のような硬派論客からは逃げるのだと思います。

曽野氏は論争に弱い人

キー坊さんの考察を興味深く読ませていただきました。共感する部分がほとんどですが、

隊長の自決命令の確実さを担保できなかったため、10年ほど前まで『ある神話の背景』に対する正面切った批判ができなかった。

という部分には異論があります。

太田・曽野論争が1985年に沖縄タイムス誌上でありました。それを読んで見ると、太田氏が具体的かつ論理的に議論を展開しているのに対し、曽野氏はまともな対応はできず、1回で論争から遁走しています。「太田氏は分裂症なのだろうか」という街のチンピラレベルの捨てゼリフを残して。

この論争を見て、大部分の沖縄の人は、太田氏に軍配を上げたのでは無いでしょうか。このあたりは石川為丸氏の論考に書かれています。http://www.h3.dion.ne.jp/~kuikui/hihyou.htm
山崎氏も「客観的にみれば太田さんが勝っています」と言っていますし、これが常識的評価でしょう。

議論に勝ったと思い、曽野氏は遁走してしまった訳ですから、沖縄の人がそれ以上批判することはありません。

一方、本土の人は、沖縄タイムスを見る機会などありませんから、ほとんどの人は論争があることすら知らなかったでしょう。本土の人間の注意を引いたとすれば、上記論争の3年後に第3次教科書裁判で曽野氏が国側証人として出廷した事件でしょうが、この時も曽野氏は原告側の弁護士にやり込められていますから、追い討ちをかけようとする人はいなかったでしょう。


上記の太田・曽野論争や教科書裁判での証人として振る舞いから、曽野氏は本格的な論争を経験したことがないのではないかと思われるほどのひ弱な人という印象を強く受けます。

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キー坊@ウチナー

Author:キー坊@ウチナー
沖縄本島中部、巨大な米軍基地を抱える町の生まれ。
齢を重ねるごとに、沖縄戦へのこだわりが強くなります。
曽野綾子・『ある神話の背景』は沖縄を究極的な軍事基地にする目的を持っています。「集団自決」は沖縄戦の集約された出来事だと思います。『ある神話の背景』は沖縄への抑圧・差別の集約文書です。

HP・「その『神話』の背景」(文献・資料集)
http://keybow.co

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