2017-10

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暗黒の日本司法

 袴田事件の再審開始が決定され、即、袴田巌死刑囚は釈放された。刑事事件有罪率99.8%という日本の刑事裁判で、死刑や長期刑が確定した囚人に対し、再審開始、即釈放という「無罪裁定」が為されることは奇跡といってよいのかも知れない。最近では「足利事件」「布川事件」「東電OL事件」という3件の再審開始、無罪判決、釈放が在ったが、これらの事件は全て、当初から冤罪性が判っていた事件であり、ジャーナリストや知識人が公に訴えていたことであった。
 あの佐野眞一は裁判中に、著書で「東電OL事件」では被告の無罪を確信し、その無実を訴えるような記述をしているが、「首都圏連続不審死事件」では前記事で紹介したように、被告の有罪を確信するかのようなヒステリックな記述をしている。共に状況証拠のみでの起訴であるが、誰が見ても前者はでっち上げの可能性を見て取れる事件であるのに対し、後者は大方の人間が、真犯人に違いないという感じを持つものであるから当然とは言えよう。だが、後者にしても決定的証拠はないのだから、短期間で有罪を確定させるべきでないと思う。
 また、最近二審でも死刑判決を受けた「鳥取連続不審死事件」をルポした青木理著の「誘蛾灯」を読んでみたが、この本を読む限り上田被告については「冤罪」とは言えないものの、共犯が居る可能性を否定できず、「死刑」という極刑を課す事に疑問が出てくる。この裁判にも警察・検察の恣意的捜査・取り調べの可能性があったと、青木氏は疑義を呈している。

                   誘蛾灯・青木理
                       誘蛾灯表紙  前に再審・無罪が確定した3事件の被告に共通する事は、社会的弱者であった事である。不法滞在のアジア人、独身の中年男、素行に問題があった若い男二人などである。袴田氏も同様な存在であっただろう。

「……殺しても病気で死んだと報告すればそれまでだ、といっておどし罵声をあびせ棍棒で殴った。そして、連日二人一組になり三人一組のときもあった。午前、午後、晩から一一時、引続いて午前二時まで交替で蹴ったり殴った。……」(袴田氏証言)。こんな取調べであったようだ。

 実に日本の司法(警察、検察、裁判所)とは恐ろしい組織体である。証拠をねつ造し、拷問によって自白を強要し、無実の人間を「死刑」に陥れていくのだ。自分らの権力を衆生に見せつける為に、無辜の民の命を奪ってしまう。日本社会は法によって律されているのだが、その法を司る警察、検察、裁判所という権力の機関が、恣意的に法律を操って権力の意に召さない人間を葬って行く。

 小沢一郎とその秘書を逮捕・起訴した裁判、小泉改革を批判して痴漢の嫌疑で逮捕・起訴・実刑判決に処させられた植草一秀氏の事件、村木厚子厚労省局長のでっち上げ事件等々。国家権力に逆らって犯罪者に仕立て上げられた事件は無数にあるだろう。日本司法が暗黒というより、日本社会そのものが暗黒と言うべきではないか?
 現代では大手メディアも、ほとんど権力の御用機関となっていて、「足利事件」「布川事件」「東電OL事件」のように冤罪性が明らかになった場合を別にして、冤罪である事が見て取れない場合には、あたかも有罪であるかのような、報道をする。

 裁判とは別の事柄であるが、今、捏造論文ではないかと騒がれている「小保方晴子氏」への過熱報道も、冤罪事件に対するそれを彷彿させるものがある。スタップ細胞が実際に在るか、或いは捏造かどうかに焦点を絞るべきなのに、小保方氏の博士論文がどうだとかコピペだとか写真が改造されのではなどの、本質からずれた処を攻撃の材料にしている。最初に報道された時の持ち上げぶりと対照的に、日本学界の主流の側から横やりが入いると、手のひらを返した悪意のこもった報道に変わる。マスコミは常に権力の側に立つ組織でしかないという事だろう。

 ところで、慶良間の戦隊長であった人物らが起こした「集団自決冤罪裁判」なるものがあった。梅澤元隊長と赤松元隊長の弟が原告となって、大江健三郎と岩波書店を相手取って起こした裁判だった。この裁判の黒幕には曽野綾子が付いていたから、国家権力の側に立つものが「大江健三郎」という反国家権力の人物と、日本国においての少数民族の「沖縄」という弱者を「告発」した裁判のはずである。しかし、判決は最高裁まで完璧な原告側の敗訴になった。日本の司法は国家権力に逆らう裁定も下す事があるのか?

 そうではなくて、この裁判で原告側を勝たせたのでは日本国家のプラスにはならないと判断して、裁判所は原告を敗訴にしたのである。大江健三郎は常に反権力の立場にいる作家であるが、ノーベル文学賞を受賞していて日本国が世界に誇るべき存在である。片や原告側の後ろ盾は曽野綾子という世界的に何の評価も受けていない通俗作家が黒幕である。原告代理人も「靖国応援団」と自称するチンピラ弁護士たちである。世界も注目しただろうこの裁判で原告を勝たせる事は、日本の恥さらしになると裁判所は考えたに違いない。
 言ってみれば国家権力にとっては、曽野綾子は大江健三郎よりずっと格下の物書きだったという事だ。また弱者であっても沖縄は、国家権力が米軍基地を押し付けている「大切な」土地である。大江・岩波を敗訴させる事は沖縄全体を怒らせる事になって、反基地気運を高めてしまうと懸念したのである。それ故国家権力の機関たる裁判所も、原告を勝訴させる事はできなかったという事だ。

 我々が普通に生活していて、冤罪事件に巻き込まれる事は滅多にないと言ってよい。しかし権力に逆らう行動を起こしたとする場合、その影響力の多寡によっては司法の力によって、我々も抑圧を受ける危険性がないとは言い切れない。
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コメント

大田元知事

阪神さん、資料をどうも。
大田昌秀氏が曽野綾子について、何らかの事を言及しているのを私は初めて見ました。大田氏は曽野が『生贄の島』取材のため、1968年秋初めて沖縄に乗り込んだ時、東京で講談社スタッフに協力しています。
『ある神話の背景』で曽野が本性を顕わにした以後は、大田氏はもっと正面から批判をすべきだったと思いますが、そんな文章は見たことないですね。

http://keybow.co/suzukitomio/ikenie.kaisetu.html

「沖縄戦と教育(沖縄時事出版)1982.6.19」は、あの教科書騒動の直前に出版されました。
大田元知事は渡嘉敷島で住民から話を聞いているようです。
曽野綾子に言わなかった事とはどのような話なのか気になりますね。
http://imgb1.ziyu.net/view/kimuke/1396660791.jpg.html

権力との闘い

こんにちは。
私の属する労組はこの11年余り、権力側が仕掛けてきた冤罪と闘っています。
仲間7名が冤罪で失職してしまいました。
佐藤優さんにも賛同していただいて感謝しております。
権力側は冤罪をでっち上げます。
マスコミ、特にフジサンケイは権力側と連携して嘘情報を垂れ流します。
闘いは死ぬまで続くでしょう。

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キー坊@ウチナー

Author:キー坊@ウチナー
沖縄本島中部、巨大な米軍基地を抱える町の生まれ。
齢を重ねるごとに、沖縄戦へのこだわりが強くなります。
曽野綾子・『ある神話の背景』は沖縄を究極的な軍事基地にする目的を持っています。「集団自決」は沖縄戦の集約された出来事だと思います。『ある神話の背景』は沖縄への抑圧・差別の集約文書です。

HP・「その『神話』の背景」(文献・資料集)
http://keybow.co

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