2017-08

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本田記述も否定

 前回の記事で、
『初枝は死去する3年前(87年)、本田靖春に「25日の午後4時くらいに盛秀に呼び止められた」と証言している』と書き、それを元にして、『「午後4時頃、前翁長の家で」、訪問はあったのではないか』との、自分なりの推測を述べた。だが、この事について宮城晴美氏本人に問い合わせをしてみたところ、「その本田氏の記述は彼の推測に過ぎず、初枝の明言した事ではない」との返信が来た。その記事出版当時、晴美は生前の母に事実でない事を確認したという。

 私もそのように否定されれば、本田記述を拠り所にすることは出来なくなる。宮城晴美は、母初枝の証言はあくまで本部壕訪問は「3月25日の夜」だったというものであり、自分もその主張を崩す事はしないと言う。そこまで言われたら、私もそれは「3月25日の夜」の出来事だった、という視点に立たたざるを得ない。それにしても、今回川田文子といい本田靖春といい、名の通ったルポ作家の記述でも、そのまま受け入れる事は軽率だという事を勉強させられた。  専門的な歴史研究家・記述者としての宮城晴美から、「キー坊さんは他者の言うことをろくに検証もせずに、丸のみしている」との苦言を呈された。それは彼女の好意から出たものとして、有り難く受け止めた。歴史的に重要な事実に関しては、証言や証拠などを慎重に検証する必要ある事は言うまでもない。
 だが、「3月25日の夜、本部壕訪問」の事に関しては、70年近い年月が過ぎ、沖縄の当事者が全て世を去っている事を考えれば、事の真偽について推測を加える事は避けられないのではないかと思う。夜の10時頃だったというのは、梅澤元隊長が勝手に言っている嘘であって、初枝の手記は時刻を特定してないのである。宮平春子・宮村トキ子・小嶺つる子らの証言によって、夜10頃には、盛秀一行5人は本部壕を訪ねてないという事は「推断」して良いだろう。
 朴壽南女史は梅澤の言った事をそのまま初枝の証言とし、小嶺つる子らの夜10時否定証言を引き出して、初枝の証言全体を「捏造」であるとして宮城親子を告発している。そこには事実関係の検証などほとんど無く、短絡的推測と言うしかない。

 さて、盛秀ら5人が、「3月25日の、午後10時頃より前の夜間」に、本部壕に行った事は考えられないだろうか?ネット時代は便利なもので、1945年3月25日の沖縄那覇の日の入り(日没)時刻が簡単に調べられる。それは18:43:27である。本島25km西方にある座間味島はそれより少し遅れて、18時45分頃と思われる。日没時はまだ明るく夜とは言えず、徐々に暗くなっていって、自分の経験上45分後くらいに夜と言える暗さとなると思う。だから、1945年3月25日の座間味島は19時30頃(午後7時半頃)に夜になったと思える。
 小嶺つる子は午後7~8時(19時~20時)頃に、初枝と落ち会ったと言う。だが、米軍の砲撃激しい中で時計を待ってるはずなかった住民に厳密な時刻特定はできるものだろうか?20時より後だった事も考えられる。初枝の手記では本部壕退去の直後に、つる子らと出会ったという。5人の本部壕訪問が、夜になった午後7時半以後、つる子らと出会う直前までの時間帯だったら、初枝の証言が真実である可能性が強まる。5人が梅澤隊長と面会した時間が30分程度であったなら、午後8時(20時)頃に初枝と会ったというつる子の証言を肯定しても、矛盾はなくなる。

 問題は宮平敏勝の証言「夜の時間帯に」、本部壕には誰も来なかったという証言であるが、この事については其処が「本部壕」であったかどかを検証する必要がある。晴美は、他の元兵士や防衛隊員の証言から、梅澤隊長らが本部壕に短期間ながらも滞在したと推測されるとメールで言っている。故に、敏勝が居たという壕が本当の本部壕であったか検証が必要だと思える。

 私が初枝の手記を否定できないものと確信に近い推測をする理由は、何といっても、彼女に「本部壕訪問」話を捏造して、梅澤元隊長を庇ってやる動機が皆無と思えるからである。1957年の「厚生省援護家」調査の時、「村の長老」が彼女に隊長命令を強要したという事は、初枝・盛秀らが本部壕を訪ねた事が知られていたからに違いない。前回書いたように、「長老」の一人は生き残った山城元教頭の可能性が強い。そんな早い時期に、初枝に作り話をする理由があったと言えようか?宮里米子は初枝から、本部壕訪問・爆薬授与拒否の話を聞いていたと言っていた。

 この数ヶ月、私は朴壽南監督の『ぬちがふう第2部』のことについて、一人でやきもきしているが、発表されてみれば、告発部分は全体のごく1部分で何て事なかった、になるかもしれない。そうなってくれれば良いのだが。 
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Author:キー坊@ウチナー
沖縄本島中部、巨大な米軍基地を抱える町の生まれ。
齢を重ねるごとに、沖縄戦へのこだわりが強くなります。
曽野綾子・『ある神話の背景』は沖縄を究極的な軍事基地にする目的を持っています。「集団自決」は沖縄戦の集約された出来事だと思います。『ある神話の背景』は沖縄への抑圧・差別の集約文書です。

HP・「その『神話』の背景」(文献・資料集)
http://keybow.co

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