2017-05

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宮城初枝に「捏造」の動機があるか

 宮城初枝はs20年3月25日の夜、宮里盛秀ら5人で戦隊本部の壕を訪ねて梅澤戦隊長に会った、と手記に書いた。だが、これは複数の証言により、「あり得ないこと」として否定されている。梅澤が手記「戦闘記録」で言ってるように、3月25日の夜(22時頃)、本部壕で盛秀一行が梅澤隊長に会ったという事実は無かったと言わざるを得ない。
 朴壽南監督はこの事を最大の根拠として、「本部壕訪問話」は5人のうちの唯一の生き残りとされる宮城初枝のでっち上げ=「捏造」であると断定し「偽詫び状事件」も含めて、宮里盛秀に自決の責任を被せる為の、梅澤との共謀であるとする。しかし、時間帯・場所は否定されても、訪問そのものまでが「捏造」であると断定できるものだろうか?

梅澤@座間味・1982
梅澤裕・1982年座間味慰霊祭

 初枝は死去する3年前(87年)、本田靖春「25日の午後4時くらいに盛秀に呼び止められた」と証言している。
 梅澤の手記では、本部壕で夜10時頃と書いてるが、「国の支え」(2007年10月)では、「敵が上陸する前の晩に僕たちはもうボロボロに壊れた海岸近くの家におって、…そこへ村の助役ら…五人が来て、…」と、インタビューに答えている。
 伝令だった宮平敏勝は、25日夜、本部壕には自分以外に誰も居らず誰も来なかったと、盛秀・初枝らの訪問を否定したが、それ以前梅澤隊長が定宿としていた海岸近くの前翁長の家に昼間、助役らが行ったかもしれないと、電話で私に話した。

 以上の三つの証言により、5人の隊長訪問は、本部壕に夜でなく、もっと早い時間帯に別の場所で、行われた可能性がある。証言をツギハギしていると言われるかもしれないが、「午後4時頃、前翁長の家で」、訪問はあったのではないか。

 何よりも、話をでっち上げる動機が初枝にあるのだろうか?
 この本部壕訪問の話は終戦後間もなく、住民の間で知られていたのだと思う。宮里米子は近所付きあいで、初枝にそれを聞いていたという。終戦後12年経ったs32(1957)年、厚生省援護課の調査が座間味で行われた時、初枝は村の「長老」の指図に従って、本部壕訪問の時「梅澤隊長の自決命令」があったと不本意ながら偽証したという。長老とは漠然としているが、長老の誰か一人は初枝ら5人が3月25日に本部壕に行った事を知っている人物ではないだろうか。知り得る人物を推量してみれば、村の戦争指導者の中で唯一自決しなかった国民学校教頭・山城安次郎ではなかったかと思える。

 米軍攻撃が迫った3月半ば頃から、役場3役、校長・教頭ら村の指導的立場にあった者達は頻繁に梅澤隊長に会い、住民の取り扱いに関して協議を重ねていたという。「参謀長」と異名を取った山城安次郎は、25日から26日にかけて盛秀あるいは玉城校長から5人の本部壕訪問を聞かされていたに違いない。安次郎は終戦後は島に留まり、助役などをしていたが、s32年の時点では本島に転出、沖縄テレビの幹部になっていた。他の長老は、彼から初枝らの本部壕訪問を聞いていただろう。
 山城安次郎は戦時中の指導的地位にあった人物の中で、唯一の生き残りにかかわらず、戦後ほとんど証言を残していない。僅かに『ある神話の背景』で、太田良博への渡嘉敷島に関する情報提供者として、及び阪神さんが見つけてくれた「週刊サンケイ」S32年3月31日号に、これ又渡嘉敷島の戦争体験者として名があるだけである。安次郎については、地元の研究者も触れることを避けているように思えるので、今は外部の者が簡単に触れるわけに行かない気がする。

 話が横道にそれたが、盛秀一行5人が3月25日に梅澤隊長を訪ねて、自決の挨拶・爆薬の提供を申し入れたという話は戦後すぐに知られていたと思える。こんなに早い時期から初枝が作り話をする必然性がどこあるだろうか?事実としてあったから、初枝は援護課調査の時の偽証を気に病み、梅澤元隊長の不遇に責任を感じ、わざわざ梅澤を沖縄に呼んで、爆薬・弾薬提供拒否の話を打ち明けたのである。それは彼女の誠意から出たものであったと思う。

 だが、梅澤は相手の誠意を汲み取る度量の人間ではなかった。靖国応援団・曽野綾子などの軍国主義復活勢力の後ろ盾を得た梅澤は、周知のようにとんでもなく醜悪な手段で、宮城親子および「集団自決」犠牲者への報復活動を開始したのである。
 朴壽南監督は、宮城親子と梅澤を同じ立場において、映画で糾弾しようとするのであろうか。座間味・沖縄の人誰もがそんな映画を望まないと私は思うのだが。
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Author:キー坊@ウチナー
沖縄本島中部、巨大な米軍基地を抱える町の生まれ。
齢を重ねるごとに、沖縄戦へのこだわりが強くなります。
曽野綾子・『ある神話の背景』は沖縄を究極的な軍事基地にする目的を持っています。「集団自決」は沖縄戦の集約された出来事だと思います。『ある神話の背景』は沖縄への抑圧・差別の集約文書です。

HP・「その『神話』の背景」(文献・資料集)
http://keybow.co

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