2017-10

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うらそえ文藝「尖閣問題特集」

 今年も例年通り、星雅彦主幹の浦添市の公刊文芸誌・『うらそえ文藝』5月が発行されている。一昨年の特集は、「慶良間集団自決」に関してのもので、星雅彦が36年ぶりに集団自決について口を開いてくれたが、内容は、我々が期待したものとは大きく違った思考転換であった。
 今回の特集は時宜を得たとはいえる「尖閣諸島問題」である。この特集では、色々な立場の5人の論者が論考を述べていて、偏らない特集になっているとも言える。その中に、ニセ沖縄人「狼魔人」こと江崎孝の文章も載っている。主内容は当然駄文というべきもので、「邪悪な侵略国・中国に強い対応示せ。然るに沖縄二紙はまったく中国を批判する記事を載せない。二紙は中国の手先と言われても仕方ない。」というものである。常に米軍を擁護し、沖縄を米軍基地の島にしておく為の言論ばかりを繰り返している植民らしい内容である。

                   surasoe16.jpg

 この特集の、江崎の文章に少し興味を引かれるところは、江崎が尖閣の開拓者・古賀辰四郎とその一族の消息に詳しいところである。古賀辰四郎は福岡県からの寄留商人であり、息子の善次は石垣島で海産品の輸出業を手掛けていたという。その時、尖閣近海で遭難した中国漁民を救出し、中国総領事館から感謝状を貰ったりしたという。子に恵まれなかった善次は、番頭日高某の子供を養子にするはずだったが、それが何故だめになったこととか、何故、尖閣諸島が遠く離れた埼玉在住の人物に売却される事になったかの事情を江崎は知ることが出来たという。
 また、先ほど世界遺産に認定された「平泉中尊寺」に関連して、古賀辰四郎は尖閣開拓以前に石垣島で真珠養殖と夜行貝輸出に成功していたが、古賀商店の当主を継いでいた日高某が、昭和37年からの「中尊寺大改修」に伴う螺鈿(夜行貝の細工品)の調達に奔走して、「大改修」に大いに貢献したと言っている。
 これらの古賀一族の事情については、私はそれほどの興味を誘われないが、何故江崎はこれほどに詳しく知っているのか、また、彼はこれほどに古賀一族を称える書き方をするのだろうかとの興味を覚える。多分同郷人だからだろうと思う。

 江崎の文章とは対極にあると思われる文章を、琉球大学法文学部名誉教授の上里賢一氏が「尖閣諸島海域を日本・中国・台湾の共存、共生の生活圏へ」という題の読み応えある論文を書いている。
 上里氏は宮古島生まれ、琉球大学をS42年に卒業して東北大学大学院に進み、沖縄に戻って琉球大学・中国文学の教官となり、昨年3月に法文学部長を最後に定年退官した学究肌の人物であった。私が中学生だったか高校生だったか、日本復帰前に、テレビの「NHK青年の主張」で、学生服姿の琉大生・上里氏の弁論を見たことを覚えている。内容は、沖縄の学校教育現場の設備、教員の数などが本土のそれと比べて大きな較差があり、それが学力格差に繋がっている。その認識と改善を本土社会に訴える、というものだったと覚えている。結果は最優秀賞で、復帰前の沖縄(県)としては画期的で、当時新聞やテレビで大きく報道されていた。そのインテリジェンスは若い頃から注目されていただろう。平成の初め頃、大田昌秀氏が沖縄県知事に初当選した時、上里氏の細君(歯科医師)を副知事に登用しようとした事があった。だが、彼女が共産党シンパだと見なされて、議会の反対に合いお流れになった事があった。だがその後、沖縄の紙上で見る限り、上里氏も奥方も政治的な論考を発表する事は全くなかったと思う。
 
 ネットで検索しても、上里氏は自分の専門の「中国文学」に関する著書以外に出版はされていない。今回のうらそえ文藝に寄稿した尖閣にに関する論考が、初めての専門外の政治関連論文ではないだろうか。長くなったので内容についての詳しい論評は次回に持ち越すが、尖閣に関しての正論中の正論ではないかと思われる。
 中国文学者として、漢民族には親近感を持っていると推測されるが、尖閣に関しては決して中国や台湾の主張を受け入れることはない。諸論文を研究して、理論的に日本の領有権の正当性を論じている。だが、決して強硬な態度で中国に立ち向かえなどとは主張しない。結局軍事力以外の、人間の交流を通じた「共存・共生」に解決の道を求めるべきだ、という真っ当過ぎる結論であるが、やはりそれしか無いのではないかと私も思う。 
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Author:キー坊@ウチナー
沖縄本島中部、巨大な米軍基地を抱える町の生まれ。
齢を重ねるごとに、沖縄戦へのこだわりが強くなります。
曽野綾子・『ある神話の背景』は沖縄を究極的な軍事基地にする目的を持っています。「集団自決」は沖縄戦の集約された出来事だと思います。『ある神話の背景』は沖縄への抑圧・差別の集約文書です。

HP・「その『神話』の背景」(文献・資料集)
http://keybow.co

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